あらかじめ一般的なことを述べれば、「幸福とは何か」に関する主義主張について、<どれが正しいのか>という観点から各々の立場の長所や短所を吟味する、というのは幸福の論じ方として歪んでいる、ということ。それでは魂がまったく震えません。もちろん、魂が震えるかどうかなどどうでもいいと考えているひとが、あの種の議論を楽しむわけなのですが、本書は「それでは駄目だ」と明示的に主張します。P20~
絶望や耐えがたい苦しみの中にいるとき、生きている意味はあるのか?それは生きているといえるのか?幸福はどこにあるのか?
それでも生きていたいし、もう楽になりたいという考えもある。
人の人生の意味と幸福の意味はどこにあるのか
例えば分析哲学の分野で人生の意味の哲学が論じられたりするが、論理の問題では上記のような論じ方となり、実際にそれに直面したり悩んだりしている人にとってはあまり納得できるものではないものになっている印象がある。
本書は、(その結論的なものに同意するかは別にして)それらとは一線を画している感がある。
人生の意味や幸福の意味は本質的には個人の内部のものであり、分かち合えないものではあるかもしれないけれど、それでも、伝わるものや救いとなるものがあるのだと思う。




