ウルソの読書記録

素人が暇潰しに読んだ本などの感想と紹介を書いていくブログです

78冊目『ハリー・ポッターと死の秘宝 新装版7-2』J・K・ローリング

 

退院後3日経ってやっと体調戻ってきた。抗がん剤の副作用徐々に重くなってきた感あるなあ

※ネタバレあり

個人的評価★★★☆☆

 

 

魔法省がヴォルデモートの勢力に陥落し、フラーとビルの結婚式場に襲来してきた死喰い人から逃げてグリモールド・プレイスの屋敷に到着したまでが前巻

今巻冒頭で、スクリムジョール(魔法大臣)がハリーの居場所の捜索で拷問→殺害されていたことが語られる。

スリザリンのロケットの所在発見

マンダンガス・フレッチャーに盗まれていたスリザリンのロケットだけれど、クリーチャーがマンダンガスを捕まえてその行方が判明する。

現在の持ち主はまさかのドローレス・アンブリッジ❗️

アンブリッジは、相変わらず魔法省で働いていて、マグル生まれ登録委員会のトップを勤めている。相変わらず碌でもないやつだな、、、

ハリー達は魔法省に潜入し、結果的にアンブリッジからスリザリンのロケットを奪還することに成功する。

けど、計画は立てている様で行き当たりばったりで、うまく行って良かったなぁという印象(まぁ魔法省の内部事情わからないからしゃあないんだけど)

魔法省の人達が死喰い人も魔法省にいる中で普通に働いてるのはある意味リアルで不気味だよね

パーシーもちょっと出てきたが、こいつ腰巾着してたスクリムジョールが殺害されてんのに良くのうのうと働いてんな、、、

その後。魔法省からの脱出に半ば失敗し、脱出はできたけれどグリモールド・プレイスは拠点として利用できない事態になってしまった。

というわけで各地を放浪しながら分霊箱を探すことに

 

ロンとの仲違い

きちんとした生活ができないことは、日々の精神を蝕む。

そして、スリザリンのロケットには精神汚染効果があるらしく、分霊箱を探す旅への覚悟の違いもあり、ロンがひたすらクズ人間に(笑

『僕達は、ダンブルドアが君のやるべきことを教えてると思っていた!君には、ちゃんとした計画があると思ったよ!』P177

いやいや、ロン、君は前巻でハリーの説明の何を聞いてたの、、、

それに、ハリーに計画性があったことなんてほとんどないだろ❗️おまえ一体ハリーのなにを見てたんだ❗️笑

そしてロンは離脱へ、、、

ハリーの杖、ぶち折れる

というわけでハーマイオニーと2人旅になったハリーは、ゴドリックの谷に行ってヴォルデモート&ナギニに見つかり、逃走は成功するものの杖はぶち折れるという事態に。

ハリーはハーマイオニーに内心ブチ切れると共に、ダンブルドアにもブチ切れだす

こんな事態になってるのはダンブルドアが僕を信頼して全部話してくれなかったからだ!

という勢いでいるんだけど、こいつホント都合の悪いことは他責的思考するな、、、

まぁまだ17歳とかで英雄的活躍沢山してるからしょうがないんだけどさ、、、

なんか良くわからん所でグリフィンドールの剣発見

たまたまハーマイオニーが昔に両親とキャンプに来た森の中で、なぞの牝鹿の守護霊に導かれ、凍った湖の中にあるグリフィンドールの剣を発見するハリー

泉の中に剣があるあたり、アーサー王伝説エクスカリバーを彷彿とさせるよね(狙って描写してるんだろうけど)

 

相変わらずハーマイオニーには何も知らせず独断先行で剣を取ろうとし、凍死orスリザリンのロケットに絞殺されそうになるが、そこにロンが現れて助け出す❗️

その後グリフィンドールの剣でスリザリンのロケットを(ロンが)破壊し、ハーマイオニーとも合流し、次巻へ

 

全体的な感想

相変わらずいきあたりばったりというか、半分運、半分フィジカルで乗り切ってるあたり、やはり主人公だなぁと思うw

ついて行くロンやハーマイオニーは大変w

ダンブルドアが自分を信頼してくれてない(※ハリーの主観)ことに不満を言う割に、閉心術ちゃんと学べという言葉には全く従おうとしない

まさしく思春期全開である。

それが良い方向にも悪い方向にも出てるあたりが、少年達の成長物語として面白いのかもしれない

あとは、ロンがロケットを破壊いたあとに発した、こういう(英雄的な)ことはもっとスマートなものだと思ってたよという感じの言葉が印象的だった。

ハリー毎回泥沼の中から何とか活路見出してたからね。ようやくホントに理解してもらえて良かったなあ

 

77冊目『空想科学読本 2(新装版)』柳田理科雄

明日からまた入院だ~(5日間)

個人的評価★★★★☆

 

 

購入したきっかけ(なんかXでトレンドに上がってた)

先日、X(旧Twitter)でなぜかトレンドに入っていて、久しぶりに読みたくなって購入した本。

1巻目はAmazonで発送まで2~3週間となっていたので、とりあえず2巻を購入(こちらはすぐ発送)

というか、これまだ新刊で入手できたんだ・・・あとがきみると、1997年になってるから27年前!?そういえば発売当時小学生だったしなあ

一応、何回か改訂して新装版だしてはいるみたい。

入手した本の初版は2006年(それでも18年前)。2022年に第16刷。

発売当時かなりのブームになり、小学校のクラスでも話題になって友達と笑いながら読んだ思い出。

これ以来、類似の本も出たけれど、やはり本家が一番面白かった。

空想科学世界を科学するという発想は類例のないものであって、この本依頼、アニメや漫画特撮を科学っぽい疑問を持ってみてしまうことがあるという人は多いでしょうし、今でも特殊な立ち位置を占めているのではないでしょうか

 

空想科学の世界(アニメや漫画や特撮とかの世界)を科学する!けど別に、厳密に科学するという本ではない(小学生のころゲラゲラ笑いながら読んだw)

空想科学の世界(アニメや漫画や特撮とかの世界)を科学的に解明する本かと思いきや別にそういう本ではなく、空想科学の世界を科学っぽく実現可能性を解いていく本w

仮面ライダーのライダーキックは、最終的にはサイクロン号(バイク)に足の形の模型付けて突進した方が良いとか

星飛雄馬の消える魔球は、静電気蓄電装置みたいなのをマウンドに持ち込んで球に蓄電させて投げるとか

マジンガーZロケットパンチを実現するには、もう超合金Zが実際にあることにしようとか

科学的な視点で空想科学の世界を見つつも、結構好き放題記述している本である(笑)

けれど、筆者の柳田理科雄先生は、空想科学の世界が好きなんだなあという感が伝わってきて面白い

注釈で、ガメラ映画の監督の『映画は素晴らしいウソの世界。つまらない理屈を持ち込むな』という主張を紹介しているあたり、ある意味自虐的で面白いw

 

小学生の時は、友達とギャグ漫画を読む感じでゲラゲラ笑いながら読んだなあという懐かしい思い出が蘇ってきたw

ページ下の注釈に書いてある小ネタが意外と面白い

本文も面白いのだけれど、ページ下の注釈も結構面白い

科学等についての知識が真面目に書いてあることもあれば、以下のように、個人の感想みたいなことも書いてあってクスリと笑ってしまうことも多いのである。

 

2万年も生きた

このとき、救助にきたゾフィーに対して彼(ウルトラマン)は、自分の命をハヤタにあがえて地球を去りたいという希望を述べ、理由として『地球人の命は短い。私はもう3万年も生きた』と言うのだった。

人間の寿命が80年だとすれば、それは2万年の250分の1でしかない。

人間が、100日程度しか生きないカブトムシの成虫に命を渡すようなものである。

相当な覚悟がなければ言えることではない。P12~13

 

弓さやか

2代目光子力研究所所長・弓弦之助教授のひとり娘。16歳でアフロダイAのパイロットというのだから、天才か、親バカか、人材不足のいずれかの理由で搭乗したいたものと考えられる P120

 

今巻で個人的に好きなテーマの話

個人的には、ガメラは、足からジェット噴射なら飛べることが証明されたのに、わざわざ甲羅の中に入って回転しながら飛行するから、飛行すると竜巻が巻き起こり、ガメラは焼き肉になって死亡するという話が今も昔も呼吸できなくなるくらい笑いながら読んだw

また、空想科学世界の最強を決定するにあたって、基準をジャイアント馬場において、ジャイアント馬場1人分のパワーを1ジャバ(力:120kg、エネルギー:3300ジュール、仕事率:2・2馬力)として比較算定した話が、ホントにしょうもなさすぎて面白かったw

空想科学研究所noteより



昔読んだことある人は、以前の楽しさを思い出しながら読むこともできるし、大人になって新しい発見もある

読んだことない人は、ある意味では類例のない本なので是非読んでみて欲しいシリーズです✨

 

76冊目『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』池内恵

 

 

個人的評価★★★★★

中東情勢は、正直複雑すぎて良く分からないなあ~。と思っているときに『中東大混迷を解く』シリーズとして発刊されていることを知り、購入した本

第2弾で『シーア派スンニ派』があり、以降も続刊予定らしい。

著者は、東大の先端科学技術研究センターの教授で、先端研・創発戦略研究ラボ(ROLES)の代表。

複雑な事柄は、全体を見ていると分からなくなる場合もあり、いくつか分解したうえで理解してくという方法もある。

そういった意味で、本書も現在の中東情勢を知るための一助になること間違いない。

 

サイクス=ピコ協定ってなに?

そもそも、僕は世界史でそういやそんな協定あったような気がするな~くらいで、内容とか全く覚えていなかったりするが、そこは冒頭で丁寧に解説してくれている。

1916年5月16日、イギリスとフランスの間でサイクス=ピコ協定が結ばれた。これにロシアも同意して、西洋列強がオスマン帝国の支配領域を第一次世界大戦の後に分割する取り決めが結ばれた。

サイクス=ピコ協定は、現在のトルコ南東部と、シリアやイラクパレスチナやヨルダンなどにかけての一帯を切り離し、英・仏の直接統治・支配圏に分けた。P13

イギリス・フランス・ロシア・・・またお前らか!(笑
物凄く大雑把な理解としていうと、現在までの諸国家と国際秩序を作る基礎になった協定ということ。

そして、

サイクス=ピコ協定協定ほど、批判と罵りの対象となった外交文書も珍しいだろう。

そもそもここまで一般に名前が知られている外交文書というものも、少ないだろう。

~中略~そこから『サイクス=ピコ協定こそ中東問題の元凶』といった決まり文句が、一般向け解説でも、あるいは中東専門家が政治的な発言を行う時にも、しばしば見られるようになった。P16

だけど、サイクス=ピコ協定を諸悪の根源として問題は解決するの?じゃあなくせば良いの?現代と100年前の類似と相違はどこにある?

サイクス=ピコ協定というマジックワードを使って分かった気になるのは危険じゃないか?

といった感じの視点で解いていく本

その論旨の展開は明快で、サイクス=ピコ協定以外に重要な条約とその意義や、現在と百年前の異同を絡めつつ単純でない新しい視点を提供してくれるように思う。

 

クルド民族ってトルコだけじゃないのね

最近ネットで何かと話題のクルド人

僕の浅薄な理解だと、トルコ政府反対勢力で難民的な存在といった印象だけど、実際はそんな単純な問題ではない。

クルド人自体、サイクス=ピコ協定以後のセーヴル条約やローザンヌ条約に翻弄された民族であり、クルド系の諸組織はトルコだけでなくシリアやイラクにもあり、また、2016年にはシリア北部に自治政府の設立を宣言している。

諸組織の中でも争いがあり、もはや訳が分からない。そこにさらに大国の思惑も絡んでくるから余計に複雑になっていく

複雑なものを複雑なものとして捉える大切さ

そのほか、アルメニア人虐殺問題や、西欧の難民問題など、現在の諸相は相変わらず複雑だなあという感想である。

しかし、物事を理解するに当たっては、単純化した説明というのも一助になるけれど、しっかりと考えていくならば、複雑なものを複雑ものとして受け入れ、自己の知識と理解を深めていくことも大切ではなかろうか。

分かりやすく、薄めのブックレットであるけれど、そんな印象を持たせてくれる良書でした。

続刊も購入し読みたいところ

 

75冊目『正欲』朝井リョウ

 

個人的評価★★★★☆

 

あのとき自分がどうにかして彼を止めていれば、あんなことにはならなかったのではないかと思う瞬間がある。

同時に、あのとき自分が彼を止めなかったから、彼はあれからも生き延びられているのではないかと思う瞬間もある。

ーあんたが散々言ってた繋がりってやつが、やっと俺にもできそうなんだ。

                                 P498

 

不登校の息子を抱える検事(なお、息子はゆた〇んに影響されてyoutuberになろうとする)、大型ショッピングモール内にあるエア〇ィーヴ的なショップで働く女性、食品会社で働く大学生、引きこもりの兄がいる女子大生八重子、その女子大生と同じ大学に通う男子大学生大也(ダンス部:イケメン)達の話を通して、欲望に対する問題が描かれていく感じの小説。

共通しているのは、少し前まで『正しい』・『常識的』とされていることから、程度の差はあれ外れてしまった人たちというところかなあという感じで読んでいた。

デビュー作の『桐島、部活やめるってよ』からそうだけれど、この作家さんは、正当性からの疎外を描き出すのがうまいなあと思う。

 

今作も、社会的つながりや、社会常識が解体されていくなかで、正しさから外れている人たちはどうしたら良いのかという問題提起になっているようにも思える。

また、最近のLGBTQへの問題提起になっているようにも思えるし、理解促進になっているようにも思える。

マイノリティとマジョリティの間にある疎外を描いているようで、かといってマイノリティを肯定するわけでもなく、読者に考える余地を与えさせる。

桐島、部活やめるってよ』との違いは、割と直接的な記述によって問題を浮き彫りにしていっているところか(そして、それによって読んでいる側も理解した気になりやすい)

正しさや疎外について読む人それぞれが、それぞれの視点で読むことができ、なおかつ、小説の中では結局何も解決するわけではなく、そのままこちらに放り投げてくるのが素晴らしい✨

 

読んで楽しい!すっきりな小説も娯楽としては良い(半沢直樹シリーズとか現代の水戸黄門的だよね)けれども、こういった、娯楽と懐疑の視点の提供を兼ねた小説も、まさしく文学という感じでとても良いなあと思いながら読了しました。

 

しかし、千恵子は大也とぶつかり合って、下みたいな会話して送り出したあとに、大也が児童ポルノで捕まったの聞いてびっくりしただろうなと思う(実際は児童ポルノではないんだけどまあそのあたりは小説の中核ともかかわるので割愛)

『もう、優芽さんに言われたからとか好意があるからとか関係ない。私は私と考え方の違うあなたともっと話したい。全然違う頭の中の自由をお互いに守るために、もっと繋がって、もっと一緒に考えたい。私いま、本当に心からそう思ってる』P459

GWあたりにゆっくり考えながら読むのにおススメかなと思います。✨

 

74冊目『向田邦子 ベスト・エッセイ』向田邦子

 

 

個人的評価★★★★★

十代は、おなかいっぱい食べることが仕合せであった。

二十代は、ステーキとうなぎをおなかいっぱい食べたいと思っていた。

三十代は、フランス料理と中華料理にあこがれた。アルバイトにラジオやテレビの脚本を書くようになり、お小遣いのゆとりもでき、おいしいと言われる店へ足をはこぶこともできるようになった。

四十代に入ると、日本料理がおいしくなった。量よりも質。一皿でドカンとおどろかされるステーキより、すこしずつ幾皿もならぶ懐石料理に血道を上げた。

 

タイトル通り、向田邦子のベスト・エッセイ集

なんだけど、食べ物や食事に関するエッセイがめっちゃ多い(笑
エッセイ集って普段あまり読まないんだけどそういうものなのか!?

それとも向田邦子が食べ物や食事に関するエッセイが多いのだろうか

そして、食べ物への描写が丁寧で、場合によってはユーモアもふんだんに盛り込まれていて、たいへんご飯を食べたくなる(笑

 

個人的にすきな描写は下記の二つ。

日本に帰って、いちばん先に作ったものは、海苔弁である。

まずおいしいごはんを炊く。

十分に蒸らしてから、塗りのお弁当箱にふわりと三分の一ほど平らにつめる。かつお節を醬油でしめらせたものを、うすく敷き、その上に火取って八枚切りにした海苔をのせる。これを三回くりかえしいちばん上に、蓋にくっつかないよう、ごはん粒をひとならべするようにほんの少し、ごはんをのせてから、蓋をして、五分ほど蒸らしていただく。

もったいぶって手順を書くのがきまりが悪いほど単純なものだが、私はそれに、肉のしょうが煮と塩焼き卵をつけるのが好きだ

                           P135『食らわんか』

 

水羊羹は、ふたつ食べるものではありません。口あたりがいいものですから、つい手がのびかけますが、歯を食いしばって、一度にひとつでがまんしなくてはいけないのです。~中略~

心を静めて、香りの高い新茶を丁寧に入れます。私は水羊羹になると白磁のそばちょくに、京根来の茶托を出します。~略~

水羊羹と羊羹の区別がつかない男の子には、水羊羹を食べさせてはいけません。そういう野郎には、パチンコ屋の景品棚にならんでいる、外箱だけは大きいけど、ボール紙で着ぶくれて、中身は細くて小さいいやにテカテカ光った、安ものの羊羹をあてがって置けばいいのです。 P112~P113『水羊羹』

 

ほかにも戦争経験世代だからか、戦争含めた実体験や成人してからのエッセイなどおもしろいエッセイがたくさんある。

ちょい読みにも向いているしおススメです。