個人的評価★★★★☆
本屋さんプラプラしながら、そういやネット小説とかでスクールカーストって良く聞くけど、最近できたことばなのかなあ。昔、(語彙はなくても)あんな教室内序列みたいなのってあったかなあ?とか思ってたら新刊棚で見つけた本。
僕の浅薄な知識だと、バラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラの4ヴァルナ制くらいで止まっていて、なんかの本読んでるときにシュードラの下位もあるみたいな感じ聞いたことあること。
職業とも絡んでいてめちゃめちゃ複雑らしいくらいだった。
けれど、実際は、4ヴァルナ制+不可触民(ダリト)は横軸の関係性で、縦軸にジャーティ(職能・内婚集団)がある。
制度自体はヴァルナは前8世紀ころから、ダリトは4~7世紀ころ成立したとされる。
イギリスのインド支配と、インドに対する詳細な調査を経て、具体化していった歴史的経緯が序章に書かれており、外的影響による内部制度の変容が見られて興味深い。
驚いたのは、カースト(本書ではジャーティを主に指している)は、インド憲法で禁止されている現代においても、インド社会では根深い大きな問題となっていること。
学習や就職の指定枠等、カーストへのアファーマティブアクションのような法律があること。
そして、それはインド国内のみならず、国外のインド人社会の中でも見られることだということ。
日本にいると、差別という問題は正直あまり実感がわきにくい問題ではある(もちろん、アイヌなどの問題があることは知っているが。)
途中、BLM運動への共感等も出てきていたが、なんというか、アメリカの黒人差別問題とかもそうだけど、こういった問題は、それぞれの国の人たちにとっては、身体化した問題であって、現代的倫理感とかで一挙に解決できる問題ではないんだなという印象を受けた。
本書は、単にカースト制度を論じるというよりは、その中で主にダリトに焦点を当てて、フィールドワークを経たうえで、ダリトの実際等も載せてくれている。その中には、指定枠等を使って高学歴で大学教員など一般的に教養あるとされるクラスの職業に就いているダリトの人々も含まれている。
また、ガーンディ(ヒンディー教内部の意識改革)とアンベードガル(ダリト出身者が主体性を以って改革)の考え方の違いは、ある制度が不合理になっているときに、どのように変革していくか、どのような問題が出てくるかのある意味では実物呈示のようになっていて面白い。
読んだ後は、スクールカーストとか気軽に言えねえな、、、という本である(笑)
じゃあこれを知って自分に何ができるか。は今のところ難しいが、自分が知らないところにこんな問題や視点がある(そしてそれは、ほんとは身の回りにもあるのかもしれにあ)という視点は持っておきたい。