個人的評価★★★★★
ジュール・ヴェルヌについて
フランスの作家で、SFの父とも言われている。個人的には近代科学小説いう印象。
15少年漂流記(二年間の休暇)や、海底二万マイルは聞いたことある人もいるのではなかろうか。
もっとわかりやすいところでいうと、ディズニーシーの『ミステリアス・アイランド』はジュール・ヴェルヌが元ネタである。
アトラクションも海底二万マイルあるし、同小説に出てくるノーチラス号浮かんでるしね。
アトラクション『センターオブジアース』の元ネタの小説家でもある(地底旅行)。
それと、昔(1993年~2003年まで)ディズニーランドにあった『ヴィジョナリウム』(っていう名前だったと思う)のアトラクションの印象が強い。
書籍の概要
ジュール・ヴェルヌの所謂ガン・クラブ三部作
ジュール・ヴェルヌを知っている人にとっては激アツな書籍だけれど、知らない人にとってはなんか高いコレクション本であろう。
『月を回って』については、創元SF文庫から『月世界へ行く』という名前で出版されている。
『上もなく下もなく』も、同文庫から『地軸変更計画』っていう名前で出版されてた気がするんだけど、Amazonで調べても出てこないから絶版なのかな?
『地球から月へ』は、たしかこの本が完訳は初めてなはず。
大学生のころに、月世界旅行を読んで面白くて三部作集めようとしたけれど、1960年代に発売された世界文学全集みたいなのにしか収録されてないらしく諦めた記憶がある。
感想
地球から月へ/月を回って
大雑把にいうと、南北戦争後のアメリカで、砲兵だった人たちで作ったクラブ(ガン・クラブ)の人達が、月に弾丸ぶち込んでやろうとなり、そこまでの反対派との争いが『地球から月へ』
弾丸ぶち込むだけでなく、弾丸の中に人が入れるようにして月へ訪問しようというのが
『月を回って』
月を巡る話はこの2作でいったん完結する。
当時の社会情勢など理解していないと分かりにくい点が無くもないが、地中にバカでかい砲身を作って、巨大弾丸を月に打ち込もうという発想は非常に面白い。
(実際どうなのかは別にして)方法論も細かく描写されており、まさに近代科学小説として非常に面白い。
一応、Wikipediaとかで考証もされているので見るとより一層楽しめる。
個人的には『月を回って』は『月世界へ行く』で何度も読んだことのある大好きな作品。
『地球から月へ』は、疑似政治的な争いの描写なども多く、少し冗長な感があるため、抄訳しかされなかったのもなんとなく納得した(笑)
結局、弾丸の角度が少しズレていたため、月を回って地球に戻ることになるのだけれど、宇宙空間での生活描写や、月の観測等面白い描写が多々ある。
本書は高くて変えなくても、文庫版で是非読んで欲しい一作
上もなく下もなく
全2部作で重要な役割あったけど脇役だったマストンが主人公的な作品。
大雑把にいうと、今度は大砲の力で地球の地軸をズラして、北極を温暖な気候に変えてやろうという話。
そのため、北極の土地を買い占めようとしたり色々情報戦があって面白い(笑
最終的には、計算間違いによって北極は温暖にはならないw
単品で読んでも面白いけれど、三部作が完訳で揃ったということ自体に価値ある一冊。
ジュール・ヴェルヌ好きならもっておきたい本