トウェイン完訳コレクション
個人的評価★★★☆☆
概要
19世紀後半に発刊された小説。
冒頭、著者と思われる人が、イギリスのウォリック城の見学ツアーのようなものに参加しているうち、参加者の一人と仲良くなり、その人物は実は中世に転位したことがあって、相手の話を記録し・・・という感じで話が始まる。
物語の主人公は、アメリカコネチカット州のヤンキー(アメリカ北部人のこと)
日本の暴走族的なヤンキーではない。
主人公は、兵器工場の工場長であるが、ある日部下に殴られたところ、起きたらアーサー王時代(6世紀)のイギリスにいたという話。
なんか最近のネット小説の流行りの異世界転移や過去転移みたいな設定である(笑
感想
現代(出版当時)の知識で無双。
転移直後にいきなり騎士に騎馬槍戦を申し込まれ、当然訳が分からず負け、戦利品としてアーサー王の宮廷まで連行される主人公。
城につくあたりまで、全員仮装かなんかしていると思い込んでいた。
宮廷についたあと、なんやかんやで処刑されそうになるが、丁度日蝕の時期だったのでそれをうまく利用して、王に気に入られ宮廷魔法使いとして地位を得ることに。
すでに偉大なる宮廷魔法使いとして存在していたマーリン(爺)と対立することになるが、当然、魔法など無い世界なので、マーリンのやってることは祈祷と口八丁みたいなもんである。
そこに科学の知識を持って対抗するので、主人公無双である。
呪われた(といわれる)塔を爆破したり、石鹸の販売はじめたり電信設備整備したりやりたい放題。
社会風刺が多い
という感じで、筋だけ追うと結構面白い。19世紀末の著者も、現代日本のネット小説も、物語の発想っていうのは時代変わらずあるもんなんだなあと感心したりする(笑
ただし、当時のアメリカ社会への風刺的な描写が非常に多い。中世騎士世界への批判的な意見なども、当時の社会についての知識がないと分かりにくく(僕は当然知識がないので注釈読んでも分かりにくかった)、また、話自体が冗長なので読んでいて疲れるものである。
まとめ
話の設定や、その後の展開(遍歴の旅に出たり、どうやって現代に戻ってきたか)などはとても面白い。
けど、社会風刺的作品であること、近代古典小説特有の冗長さがあって読むのには苦労する。
古典小説好きとしては面白いし、持っておきたい本だけれど、おススメするかは微妙なところである。