ウルソの読書記録

素人が暇潰しに読んだ本などの感想と紹介を書いていくブログです

88冊目『赤と青のガウン オクスフォード留学記:文庫版』彬子女王

個人的評価★★★★★

 

 

食堂の奥にはハイ・テーブルと呼ばれる場所がある。食堂のいちばん奥、学生の席より一段高い場所に二十人ほどが座れる格調高いダイニング・テーブルが置かれている。

高い天井に壁中に飾られた歴代学長の肖像画。決して座り心地がよいとはいえない硬い木のベンチに間接照明。まさに『ハリー・ポッター』に出てくる食堂そのもの(実際に『ハリー・ポッター』の映画のロケに使われたのは、マートンのご近所のクライスト・チャーチ・コレッジの食堂である)P80より引用

 

皇族である三笠宮彬子女王のオクスフォード留学記。

著者名『彬子女王インパクトよ!これが使える著者はほとんどおるまい(笑

そして、留学記となっているので、皇族がなんかちょっと海外留学体験しました的な感じの留学記かと思ったが、学習院大学在学中に1年留学したあと、学習院を卒業しオクスフォードに行き、博士号までとるというガチ勉強勢体験記でびっくりした

(タイトルの赤と青のガウンは博士号取得者しか着れないっぽい)

皇族であるという事情(なんかやっぱ状況に恵まれてるなあとか)を省いたとしても、オクスフォードのマートンコレッジに入って博士号ガチ勉強した留学記録として単純に面白い作品だった。

マートンコレッジやらクライスト・チャーチ・コレッジやら何なの?と思う向きもあるけれど、そのあたり作中でも紹介されていて、オクスフォード大学は大学のなかに20くらいあるコレッジのどれかに所属して、コレッジごとにも食堂や図書館、チューターがついたりして勉強していくシステムらしい

大学内に互助組織みたいなのがあるイメージか?

どれぐらい優秀者出したかとかは各コレッジの威信にも関わるから切磋琢磨しているとかなんとか。

ほかにも、日本とイギリスの文化的な違い、海外留学者の現状や、ご本人の苦労:留学するのに記者発表しなきゃならなかったり(東北大震災のあとだた)、博士号取得の過程でストレス性胃炎になったりまあ色々大変だなあと思いつつ、エリザベス女王ティーパーティとかすげえな(けど、皇族の人も女王と会う時緊張するんだね)とかおもったりしつつも楽しく読める一冊

そういえば某2ちゃんねる創始者が皇族は日本国民じゃないみたいな発言して炎上してたけど、この本読んで思い付きで言ったりしたのかな?(笑

皇族は『日本国民』ではない。戸籍や住民票はないし、国民健康保険には加入させてもらえない。だから海外旅行をするときに発行されるパスポートも、普通の赤や紺の表紙のものではない。表紙に『外交旅券』と書いてある茶色のパスポートで、外交官が持つものと同じである。P133

『日本国民』の定義上の問題なんだけどね

そういえば皇族の方って病気になったらやはり医療費は全額自己負担なんだろうか(そうなんだろう)