ウルソの読書記録

素人が暇潰しに読んだ本などの感想と紹介を書いていくブログです

107冊目『ローマ人の物語19 悪名高き皇帝たち(3)』塩野七生

 

 

個人的評価★★★★☆

 

クラウディウスは、突然に権力欲に目覚めたのではなかった。ローマのエリートたちに最も深く影響を与えた哲学は、ストア学派の哲学である。

夢にも思わなかった事態に対処するはめになって、彼の心中にも、公益への奉仕の精神がよみがえったのだ。P34

 

悪名高き皇帝たちの第3巻目は、クラウディウスの治世の物語

前巻で、わりとみっともない状況で皇帝に推挙されたクラウディウス

どんな感じの治世になるのかな〜、そもそもクラウディウス家はローマ貴族の超名門なのでなんとかなるのでは?と思いつつ読み始めることに。

 

クラウディウス皇位継承権はあったようだけれど、ティベリウスには顧みられず、皇帝になるとは自分でも思わず、歴史家として学問に没頭していた人物

だけれど、皇帝になったからには責任を持って公的職務を勤めるという責任感の強さはローマ貴族らしいなぁと。

そして、カリグラの浪費があったとはいえティベリウスが完成させたローマ帝国はまだまだ取り返せる状況であったこともあり、広範な知識を持つ『歴史家皇帝』の能力が十全に発揮されたといっても過言ではないのではなかろうか

官僚システムの構築やブリタニア遠征を含む各支配地域の綻びの端緒の補修、各種公共事業の整備などしっかりと統治している感がある

とはいえ、高級官僚(解放奴隷)や妻には舐められ専横を許すなど、私の部分では典型的学者肌っぽさからの欠点も多々あり、現代から見れば人間らしさとも捉えられるけれど、当時の人からすればたまったもんじゃなかったろうなぁという感じもあった(笑

最終的には、ネロを皇帝にしたいアグリッピーナによって暗殺され治世は終了

とはいえ、やりたいことはやりきったクラウディウス治世は比較的良き治世だったのではなかろうか

次のネロ治世はどうなるんだろうか、、、あんまり良いイメージは無いんだけれど、、、笑