個人的評価★★★★☆
2010年5月に邦訳が発売され、哲学関係の本としては異例の爆発的ヒットを飛ばした本
なので、タイトルは知ってるという人は多いのではないでしょうか。
この時期、NHKの『ハーバード白熱教室』に関連して『~白熱教室』的な本や番組結構あった印象
手持ちの単行本は中古で購入したものだけれど、2010年10月10日の第104版って版数凄いね・・・
とはいえ、個人的にはトマ・ピケティの『21世紀の資本』と同じく購入した人は多いけれどちゃんと読んだ人は少ないんじゃないかと思っている。
(そういえばピケティとサンデルの対談本みたいなの出たらしいですね)
大体ベストセラーになる哲学系の本は実際読んでる人は少ないというのが勝手な持論なので(笑
内容としては、政治哲学(公共哲学)の一般向けの概説書(講義録的な)
功利主義、リバタリアニズム(自由至上主義)、カントやロールズ、アリストテレスなどそれぞれ立場の違う(カントやロールズは自由に重きを置いている)理論を概観しながら道徳的な行い、正義とはなにか?善とはなにかを問いかけてくる(考える契機をこちらに与えてくる)本
そのうえで、サンデルはコミュニタリアン(共同体主義)なので、上記各理論ではどうしても出てくる矛盾や問題点をコミュニタリアニズムの概説を通じて解消と自身の考えを解説してくれている。
共同体主義的な考え方も、それはそれで危ういところありそうな気もするけれど・・・
自分が何に重点を置くのか?人としての善き生き方とは何か?正義とは何かなど考えさせられる良本だった。
原題は『JUSTICE what's the Right Thing to Do?』でカッコいい(ロールズの聖議論的な?)
けど、ヒットした要因の一つは日本語版の思わせぶりなタイトル(なんか正義に対する解答がありそうなタイトル)なんだろうなあ