ウルソの読書記録

素人が暇潰しに読んだ本などの感想と紹介を書いていくブログです

2冊目「大乗仏教 ブッダの教えはどこへ向かうのか」佐々木閑著

 

 

 

個人的評価 ★★★★★

 

原始仏教(ゴータマ・ブッダが説いた最初のころの仏教)の考え方と、僕らが慣れ親しんでいる仏教(大乗仏教)の考え方は、実は大きく違っている。

個人的には全く仏教には興味がなかったけれど、大病を患ってから何となく、どんな教えとかなのかな~と気になって仏教についての本も読み始めた。

本を読むに当たっては、まず最初の頃の考え方から知るべきかな~と思って原始仏教についての本から読み始めたので、自分のイメージしている仏教との違いに結構戸惑った笑

人は自己の業によって六道(地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人、天)のいずれかに生まれ変わる。その輪廻から解脱することが仏教の考え方なんだけど、解脱したあとは、何もない。ということは結構衝撃を受けた。

え!?天国(極楽浄土)に行って幸せな生活送るんじゃないの!?的な笑

原始仏教は、神とかの存在を観念するというよりは、あくまでも自力救済の宗教ということみたい。

 

前置きが長くなったけど、

じゃあ、僕らの慣れ親しんでいる仏教はなんなの?と思って手に取ったのがこの本

NHK出版の「100分de名著 大乗仏教」というムック本に加筆修正されて出版された新書。

対話形式になっていて読みやすい。

原始仏教の考え方から、どのように僕らの知っている仏教へと考え方が変わり、日本に受け入れられて行ったかが、分かりやすく書かれている。

同じ大乗仏教の中でも、考え方が違ければ教典も違う。(たとえば、浄土真宗とかは南無阿弥陀仏と唱えれば天国行けるみたな他力本願の志向が強いけれど、曹洞宗など禅宗はまた違う)

そんなことを具体的な歴史変遷と併せて学べるのでとても面白かった。

読んでいくと、じゃあ大乗仏教ってもはやお釈迦様の仏教とは別物なんじゃないの?という感想起きてくるし、実際そう言った学者さんもいて、学会でも受け入れられているらしい(大乗仏教非仏説論)

けれども、宗教をこころのよりどころとして考えたとき、大乗仏教的な考え方によって救われる人がいるのならそれも仏教の一つとして良いんじゃないかな?

と思ったりする

病気で死を意識したとき、(狂信や傾倒はよくないが)なにか心のよりどころが欲しくなる気持ちも良くわかるのである。

自分ではどうにもできない事態や絶望感があるとき、言葉や教えによって救われる部分があるなら、それは良いことなんだと思う(詐欺商法や霊感商法とかは別ね)

 

ちなみに、大乗仏教以外の仏教(上座部仏教)も現役バリバリで、スリランカやタイ、ミャンマーなどではそちらが主流である(黄色い袈裟っぽい衣の人たち)

個人的には、上座部仏教系の方が論理性高くて読む分には面白い。