ウルソの読書記録

素人が暇潰しに読んだ本などの感想と紹介を書いていくブログです

10冊目「人生の短さについて 他2篇」 セネカ 

 

 

 

 

 

個人的評価★★★★☆

 

ローマのストア派哲学者セネカの書簡集的なもの。

禁欲的な生活を説くストア派思想が理解しやすい書簡が収録されている。

人生は浪費すれば短いが、過ごし方次第では何かを成すには十分に長い。

そのためには、他の人に自分の時間を取られる多忙な生活を捨てて、閑暇の中で、過去の哲人に学び、英知を求める生活をすべきだとする。(閑暇といってもまがい物の閑暇もある)

セネカ自身は、カリグラやネロといった歴代の皇帝に仕えていて多忙だったであろうことは皮肉だろうか?笑

ある程度理解するためには、ストア派哲学や、時代状況の概要を把握していたほうが良いため、巻末解説を読んでから読み始めるのが良い(これは、哲学などの著作全般的にいえるが)

 

以下、気に入った文章をいくつか抜粋

P52「これに対して、あらゆる世俗的な営みから離れて生きる人の人生が、長くないはずがあろうか。その人生からは、何一つ奪い取られない ~中略~そのような人生は、たとえどんなに短くとも、十分に満ち足りている」

P68

(真の閑暇は、過去の哲人に学び、英知を求める生活にあるとの表題を受けて)

「自然は、われわれに、すべての時代と交流することを許してくれる。ならば、われわれは、この短くはかない時間のうつろいから離れよう。そして、全霊をかたむけて、過去という時間に向き合うのだ。過去は無限で永遠であり、我々よりも優れた人たちと過ごすことのできる時間なのだから」

P78「不安の原因は、幸福からも不幸からも生まれ、決してなくならないだろう。人生は忙しさに駆り立てられていくことだろう。閑暇は、決して実現することなく、いつまでも切望されつづけることだろう」