ウルソの読書記録

素人が暇潰しに読んだ本などの感想と紹介を書いていくブログです

9冊目「イスラームからみた西洋哲学」中田考

 

 

 

 

 

個人的評価★★★★☆

日本人イスラム教徒(兼学者)によるイスラームの哲学や、イスラームからみた西洋哲学の概説。

アリストテレスとかは、一度西洋では廃れたあとにイスラームを通して再発見されたことは知っていた。そんな感じの解説かなと思っていたら、予想に反して(良い意味で)、中田考先生のイスラーム哲学や西洋哲学に対する理解が書かれていて興味深かった。

 

個人的にには「神がいるかいないか」ではなく、「何を神とするのか」という発想が面白かった。

例えば、神から自由になって、金や権力や快楽を追い求める現代資本主義の申し子的な人たちも、それは神から自由になっているのではなく、金や権力や快楽を神としているという発想。

 

ほか、あとがきに特徴的だけれども、現代的ニヒリズム(それにはポリティカルコレクトネスなども含む)への強い危機感が印象的だった。

どのような行動をとろうとも、すべては無意味で、無価値であるとの考えは現代において根底的に流れている。

著者は、それに対する唯一の解決がイスラム教と考えている。

それに賛同するか否かは別にして、読んでみて、自分で考えてみるのも面白いと思った。