個人的評価★★★★☆
なろう発中世っぽいファンタジー小説第5巻。
とはいえ、分かりやすい小説家になろう的要素(異世界転生・チート・ざまぁ・ハーレム)はほとんどなく、割と質実剛健な作風。
大雑把にいうと、人間(王国)と魔族が対立し(人間が大幅に有利。魔族を奴隷にしたりしている)、人間には成人の儀みたいなので教会から魔力が与えられる世界で、主人公は魔力が発現せず蔑まれることになる。
主人公は環境にもめげず、自身の信念に従い、剣の腕を磨いていくが、冤罪をかけられ辺境の砦へと追放される。
そこで魔族側を守るために立ちあがり、逆襲していくというストーリー(本当は反逆する理由や世界観はもっと深いけど)
第5巻は、教会(ヨナ教)の大神殿のある霊峰ドゥ・ツェリンを巡る戦いが主眼。
ここを攻略できれば戦略的に大きな意味を持つため、魔族側も総力を挙げ、王国へのレジスタンスとも協力して攻略を考えるが王国側も5つある騎士団のうち主力2つと、教会の軍(済世軍)を投入してきて・・・という展開。
戦いが進む中で、ヨナ教によって人間に嵌められた枷(魔族を非人間として扱う思考)が外れる人が増え、世界が変わって行く。
小説化になろうでも同じ内容が読める(もちろん、書籍の方が加筆とかあるが)
ので、それを読んでから購入しても良いと思う。
読み始めるときの注意点としては、既刊5巻のうち最初の1巻だけ買って試しに読んでみるというのはやめた方が良い。(すくなくとも2巻以上は買った方が良い)
というのは、1巻はひたすら主人公が虐げられる鬱々とした展開が続くため。漫画版が即打ち切りになったのはこれが影響していると思う。
とはいえ、それは本筋の展開に必要な要素でもあるので難しいところ。
ここまでは、ある程度本格的なファンタジー小説だと思うが、今後の展開がどうなるかによってこの作品が名作になるかどうかの分水嶺になってくると思う。
世界観や(やや誇張はあるが)人物の動き、(やや冗長の感はあるが)戦闘描写なども面白い。あとは、話の展開的に宗教がどう絡んでくるのか。銀河英雄伝説の地球教との闘いみたいになっていくのか、それとも別の展開があるのか
今後に期待しつつ続刊待ち。(著者さん遅筆なのがもどかしい笑)