個人的評価★★★★★
忘れ去られた知の巨人、清水幾太郎の読書についての本。
ジャーナリストであり、社会学者であり、60年までの平和運動の立役者(のちに右に転向し批判を浴びる)であるが、著書等を読むと、左派全盛の当時にあって、思想に従属するのではなく、自分の頭で論理的に考えるリアリストという印象を受ける。
本はどう読むか、という表題だが、著者の幼少期の読書体験から始まり、どのように読書方法の遍歴を経てきたかも書かれていて、半ば「私の履歴書」を読んでるような感じもあって面白い。
・本はできるだけ買え(書き込みとかしたいから)
・けちるな(理解できたり、合わなかったり、つまらなかったら途中でやめて良い)
・そもそも必要なければ本を読まなくても良い
というったことは納得できる部分も多々ある。
とはいえ教養主義の時代の人物でもあるので、「立派に生き、立派に死にたければ」教養書はそのような人たちのためにある。といったことが書かれているのは感慨深い
ほか、本を読む際は、読書会のように一文毎にゆっくり読むのではなく(著者は読書会否定派である)、その本の筆者が書いたリズムに合わせて読み進めていくべきとする。
また、英語(の読書)をマスターしたいなら、文法とか英単語とかは中高生レベルの素養があればいいから、細かく英語を日本語に変換して考えていくのではなく、洋書一冊買って、とにかくそれを読み通せ。数冊読み通せば英語のリズムがつかめてきて読めるようになるといったことが書かれていて、試してみたくなった。
(とはいえ、著者の要求している基礎レベルがどの程度なのか、現代とは違う旧制高校とかのレベルと考えると一考の余地はある)
最後に、好きな一文の抜粋
「そうでない人たち(職業上読書が必要でない人たち)にとっては、どんなに読書が大切であるにせよ、人生が読書に尽きるはずはない。読書生活を人生最高の理想と説く人もいるが、これはインテリの思い上がりというものである。」
セネカの人生の短さについてを読んだ後に読んだからかなんとなく面白い笑
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