個人的評価★★★★☆
大体の人は名前は知ってるであろうフランケンシュタインの原作。
原題は、「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」。こっちのがカッコいい気がするけど、、、。
ヴィクター・フランケンシュタインが作り出した怪物との対峙の経緯や顛末が叙述された小説。
フランケンシュタインは怪物の名前じゃないよ!とか、SFの元祖だよ!とかが良く言われる。
怪物は、後世の作品に登場する際には、「ザ・ワン」(屍者の帝国)とか、「アダム・フランケンシュタイン」とか言われたりする。
個人的にはアダムがしっくりくる。
名作であることには間違いないんだけど、近代小説特有の、細かい情景描写が長かったり、ヴィクターの生い立ちから説明があったりと、現代的感覚だと読んでいて面倒なところも多々ある。
また、ヴィクターの性格が甘えたイきり陰キャ貴族みたいな感があって、読んでいると怪物の方に同情的になることも多々ある。
ヴィクターは怪物にビビりまくってるくせに、怪物と会うといきなりイきりだし、強気にでるがその結果として数々の悲劇を招いているのである。
(そもそもが、ヴィクターの無責任行動がなければ怪物は怪物ではなかったのではないか)
もちろん、ヴィクターの科学や錬金術に没頭する性格や、愛情や友情、自然などに対する感情の発露は人間的の本質的なものが多大にあるし、考えていることも一理あることが多々あるのだが、その場しのぎの行動を繰り返してしまうのだ。(それがまた人間的である)
全体を通して、ヴィクターと怪物は表裏一体的な印象があり、ヴィクターの死が怪物の死につながるラストもなんとなく腑に落ちる感じがある。
物語の始まりが、その時点ではヴィクターと全く関係ない、極点への遠征に希望を抱いている若者(ウォルトン)の姉への手紙から始まるという展開は、今でも素晴らしい手法であるし、細かい情景描写等は、ネットでその地方の景色を検索して、想像しながら読む楽しみもある。
要は、フランケンシュタインという作品の経緯や背景・歴史も含めて読むと、大変優れた名作がそこに現れてくるのだと思う。