ウルソの読書記録

素人が暇潰しに読んだ本などの感想と紹介を書いていくブログです

51冊目『穴 HOLES』ルイス・サッカレー【海外児童文学】

穴 HOLES

 

個人的評価★★★★★

 

1 どんな小説?

いじめられっ子であったスタンリー・イェルナッツ少年は、身に覚えのない窃盗の罪でグリーンレイクヒルにある矯正キャンプに送り込まれることになる。

イェルナッツ家は、先祖が呪いを受けたことにより、非常に不運な家系なのである。

レイクとあるがそこには現在は湖はなく、灼熱の大地があるのみ。

そこで収容者は人格形成のため穴を掘ることを義務付けられている。

なぜ穴を掘るのか?(穴掘りが人格形成に資するとは思えない)矯正キャンプの所長の目的はなんなのか?

グリーンレイクヒルやイェルナッツ家の過去の物語と、現在のスタンリーの動きが折り重なり、物語が進んでいく。

 

2 感想とか

16歳くらいの頃に、高校の図書室で司書の先生(おばあちゃん)に薦めてもらって単行本で読んだ覚えのあった本。(先生まだお元気かなあ)

当時は部活に熱中していてあまり本は読んでいなかったが楽しく読めたのと穴を掘るのが印象に残っていた本だった。(内容は全く覚えてなかった笑)

 

先日、英語の勉強をするのにAmazonの洋書ランキングを見ていたらChildren's Mystery, Detective, & Spyのカテゴリーでランキング1位になっているのを見かけて洋書と邦訳の文庫版を併せて購入した。

 

毎日ひとつ穴を掘る。土日もだ。穴は筒状。大きさは、直径1・5メートル、深さ1・5メートル。しゃべるが物差しがわりになる。朝食は四時半』P23

キャンプ入所初日に言われた言葉が印象に残る。

 

キャンプには、他に変わったあだ名を自分達で付けている少年たちがいて、その少年たちと同じ班を組んで一人一個、毎日穴を掘っていくのである。

しかしまあいわゆる非行少年たちであるので、ろくでもない奴らばかりである(笑

物語は、穴での発見や、キャンプからの脱走、過去の物語との関連を通じて、徐々に何のために穴を掘っていくのが明らかになっていく

 

それとともに、班の仲間のゼロとの友情、また、穴掘りを通じて鍛えられたことも含めスタンリーの成長が描かれている。

過去の物語は(読み終わってからあらためてみると)すべて現代への伏線となっているが、その伏線のつながり方が、見事なまでに折り重なってつながってくるのが面白い。

 

主人公家族が、基本的に不運を気にせずひたすら前向きなのは真似をしたいところではあるw

続編も出ているようなので、折を見て購入したいところ。