個人的評価★★★☆☆
塩野七生女史の書き方もあるのか、ヴェスパシアヌスは『久々にまともな皇帝来たな・・・』感がとても強いw
ヴェスパシアヌスは騎士階級出身初の皇帝だけれども、アウグストゥスやティベリウス、クラディウスなどの堅実な政治をしっかりと踏襲している。
やはり、皇帝としてやるべきことをしっかりと認識し、側近など信頼できる組織を持ち、奇をてらわずに公務を行うことが大切なんだなあと思いながら読む巻でした。
ただ、皇帝法で自分の子供たちを次の皇帝に指定したまでは良いんだけれど、(形式上でも)元老院の否認権をなくしたのは後々問題になりそう。
この辺りは、いままでの歴代皇帝を見てきて身の安全とかを考えるとか、騎士階級出身で支持基盤弱いからとかあるのかなと何となく理解はできるんだけれどもね。
あとは、少し時系列を遡ってユダヤ戦役の叙述が、ユダヤ人の性質(というか純粋な一神教)を顕していて結構面白い(このときは、大国ローマ対ユダヤだったけれど、現在はある意味ではユダヤが大国側?なのが示唆的)
また、移民排斥は経済不安のあるときに、低所得階層からおきやすいというのも現在の日本の状況を見ていると納得できるところもある。
しかし、危機と克服はまだ中巻なんだよね!?
ヴェスパシアヌスでかなり克服できた感あるけど、まだ揉める感じなの!?
次巻どうなるか楽しみ✨