ウルソの読書記録

素人が暇潰しに読んだ本などの感想と紹介を書いていくブログです

12冊目「読書について」ショーペンハウアー

 

 

 

個人的評価★★★★★

ショーペンハウアーの主著「意思と表象としての世界」に対する「余録と補遺」として書かれた論集から抜粋されたもの。本書では、読書について、著述と文体について、自分の頭で考えるの三篇が収録されている。

 

ショーペンハウアー自体、意思と表象としての世界を若いころに出版して以来、その主著の改訂か余録と補遺みたいな思想の導入書的なものしか書いていない。

そして、主著よりも先に余録と補遺が人気を博し、それがショーペンハウアー思想の評価につながっていった流れはなかなか面白いものがある。

 

読書についてというからには読書論が書いてあるのかと思いきや、読書は他人の頭で考えたことをなぞるだけなので、頭が愚鈍になっていくものだし、新刊本なんて手を出さん方が良いとかなかなか過激なことが書いてある。

しかもこの人のいう読書とは、今でいう自己啓発本とかすぐ読める本のようなことを指すのではなく、哲学書や学者の本など、教養書・学術書を読むことを指しているのである。

 

とはいえ、全く読書するなというわけではなく、むしろ学者たるもの大いに読書すべしとする。その読書は、受動的に読むのではなく、自分の思索の糧にするような(精神的に非常な負担を要する)読書をせよというものなのである。

 

ほか、名文家でもあったらしいショーペンハウアーは、当時のドイツで流行の文章作法や匿名評論家へもぼろくそ書きまくるし、ヘーゲルシェリングなどへの罵倒にちかい酷評は、半分ルサンチマンも入ってる感じがあって面白い。