ウルソの読書記録

素人が暇潰しに読んだ本などの感想と紹介を書いていくブログです

60~62冊目『ハリー・ポッターと謎のプリンス』J・K・ローリング

※ネタバレあり

 

 

個人的評価★★★★☆

『また防がれたな。ポッター、おまえが口を閉じ、心を閉じることを学ばぬうちは、何度やっても同じことだ』敵対しつつもさりげなく助言するスネイプ。6-3巻P298

ハリー・ポッターシリーズ6作目。次の死の秘宝で完結です。

面白い本のシリーズを読んでいて、終わりが近くなってくるとなんとなくもったいなくて読むのが遅くなってしまう(笑)

 

今作もいつものとおりダーズリー家でのハリーから始まる?

と思いきや、イギリス首相の執務室から話は始まる。

ここ最近のイギリスの異変を不安に感じながらも執務をしている首相のところに、魔法大臣ファッジが現状の魔法界の報告と引継ぎの連絡のために現れる。

イギリス首相は困惑しているけど、そりゃそうだよなあ。話聞いてると、どんどん自体が悪化していってるわけだし。

そして、次こそダーズリー家が舞台かと思いきや、今度はスピナーズエンド(スネイプの実家)に舞台は移る。スネイプの元に、マルフォイの母親(母フォイ)と、ベアトリスク・レストレンジが現れる。

ルシウス・マルフォイ(父フォイ)が捕まったことを受け、マルフォイがヴォルデモートから任務を与えられたということ。そしてそれを手助けして欲しいということを言いに来た模様。

父フォイ、前作までに色々やらかしてるとはいえ、マルフォイに任務を与えるあたりヴォルデモートの性格の悪さが現れている(半面、いままで良く父フォイを許していたなという感はあるけれど)

そのなかで、スネイプと母フォイは、マルフォイが失敗したときはスネイプが代わりに任務を達成するという『破れぬ誓い』を交わすことに。

その後ダーズリー家へ舞台は移り・・・

という感じで、5作続いてきた物語の冒頭の舞台が今作から変わり、物語に大きな転換期が来ていることが示唆されていて興味深い。

さて、今年もポグワーツは開校されている。

個人的に、スリザリン生とかほぼ死喰い人候補みたいなもんだが学校来させて良いんだろうか、、、マルフォイとか父親捕まってるし、、、

とか一瞬思ったけど、親が犯罪犯したからって、子どもを学校が受け入れないというのもまあ一般的に考えればおかしなことになるし、それは魔法世界でも同じだよね。

と思いながら読む。

ただ、スリザリンは明らかにヴォルデモート寄りの態度とる生徒も多いのでどうなんだろうかと難しさを感じる一幕でもある。

ハリー、シリウスの死後も今のところあまり成長せず

前作でのシリウスの死をきっかけに、独断専行の弊害を知ったハリー。

それをきっかけに仲間との協力や、思慮深く行動することを覚えたかと思いきやあまり変わらない。

ただ、これは周りもマルフォイが死喰い人であるというハリーの見解を一笑に付したり(実はハリーが正しい)しているので、これまでの経緯を考えると中々悩ましいところではあるなあと思いながら読んでいた。

そういえば、表題の謎のプリンスはいつ出てくるの?と思いながら読んでいたが、これはハリーが偶然手に入れた魔法薬学の教科書(古本)に書き込みしまくっていた過去の人物が、自身を半純血のプリンスと記していたことから。

ハリーはその人物を(魔法薬学の成績を抜群に伸ばしてくれたことにより)信頼するが、実はその人物はスネイプだったというオチ。それを巡る経緯を考えると、次巻への伏線になっているんだろうか。

ダンブルドアとヴォルデモートの過去を辿る旅へ

ヴォルデモートの倒し方を探るため、ハリーとダンブルドアは、ダンブルドアが集めた記憶をもとにヴォルデモートの過去を辿る。

そのなかで、トム・リドル時代のヴォルデモート、ヴォルデモートの両親、ポグワーツ時代のヴォルデモート等、様々な過去をみる。

ヴォルデモートとハリーって、実は似ているところ多かったりするんだよね。もちろん、孤児になった経緯とかも違うから一概に同じになったかもとは言えないけれど、ダンブルドアの配慮の影響もそこにはあったのではないかと思う。

過去への旅を通じて、ヴォルデモートが自身の魂を分割し、分霊箱に収めることによって不死となっていることを見つけ出す。

つまり、分霊箱を全て破壊すればヴォルデモートは不死ではなく、そこでは人と人との対決に持ち込めるのである(ヴォルデモートとすれば、不死から死の戦いへと引きずり込まれることになる。)

ダンブルドアの死とハリーの成長

マルフォイ、色々画策して失敗しまくっていたが、ついにダンブルドアを追い詰めることに成功する。

しかし、自身では殺すことを決断できず、ダンブルドア側に戻りそうな感じも出てくるが、あとから死喰い人達が来たことにより台無しに。

結果的に、破れぬ誓いに縛られたスネイプによって殺害されることになる。

これにより、ハリーは自己を庇護してくれる人が全ていなくなり、ヴォルデモートと直接向き合わなければならなくなる。なかなか16~17歳くらいの少年には過酷である。

ハリーは自身で分霊箱を見つけ、破壊することを決断したところで6巻は終了。

今作は、冒頭の描写で示唆されていたとおり、クライマックスに向けて物語が大きく転換していく巻となった。

物語が進むなかで、ハリーやその他の人物の成長も見られ、まさしく児童文学的な要素も大きくあって面白い。

次巻で最終巻。文庫版は4分冊なのでゆっくり読みたい。