個人的評価★★★☆☆(若い頃はもっと面白く感じてた気が)
微妙にネタバレあり。
対になる作品として、『冷静と情熱のあいだ Blu』(辻仁成)がある。
セットで読むことで完成するという面白い形式の小説
(女性側の)30歳の誕生日にフィレンツェのドゥウォモで逢おうぜ!っていう、男側から発せられたある意味ロマンチック的な言葉が鍵になっているよ!
何もしない、何にもならない毎日。それのどこがいけない?マーヴならきっとそう言うだろう。怠惰、無為。それのどこがいけない? P114
ものすごく大雑把なあらすじ
Rosso版は女性側の物語。アンティークのジュエリーショップに努めるアオイは、穏やかで金持ちなアメリカ人の恋人マーヴと一緒に暮らしている。
静かで穏やかな日々を過ごしているが、マーヴの優しさに甘え、次のステージ(結婚とか)へは踏み出さず、何か心に穴が空いているような生活を送っている。
これは、大体が学生時代に情熱的に愛し合った男側主人公順正への未練とも言えない感情が根底にあるんだけど、ある日学生時代の共通の友人が訪ねてきて物語は動き出す!
映画と併せてめっちゃ流行った
丁度高校生くらいの時に映画が上映されたけれど、その上映前の段階で学校(のカップル間で)めっちゃ流行った。
赤と青をそれぞれ読んで、読み終わったら交換して読んでそれから映画に行くみたいな。
局地的流行なのか他の地域でも流行ったのかはわからない(笑)
映画も結構繁盛したイメージがあり、主題歌を歌ってたエンヤのCDも売れ、年末の歌番組に出てたし、紅白歌合戦も出てなかったっけ?
映画は設定は同じだけれど内容は全く別物として観た方が良い。脚本も新たに書かれていたらしいし、映画だといきなり主人公たちが再開したりする(小説だとラスト)。
ただ、フィレンツェやミラノなど、イタリアの映像は綺麗だし、小説読むときにイメージしやすくなるので、映画観てから小説読んでも楽しいかも✨
たぶん20代以下で読むのと30代以降に読むので感じ方変わる
Rossoのほうは、基本的に穏やかで代わり映えのない生活が繰り返され、そこに徐々に変化の要素が現れてきて、、、
という感じでかなりゆっくり進んでいき、終盤にかけて一気に展開が動くような話。
10代20代の時はもっと面白く読んだ覚えがあるんだけど、今になって読むと、主人公の無自覚な幼さと甘えに若干イラついてしまって(どちらかというとマーヴ側に感情移入してしまって)読んでいくような感じになってしまった。
冒頭の方にアオイが読んでる小説の印象に
『みんなが少しづつ不幸になっていく物語』みたいな感じの一文があったんだけれど、まさしくこの小説自体がそんな印象を持つ感じになってしまった。
まあ、結局は静かな生活(冷静)を捨てて順正との動きのある生活(情熱)にいくあいだの群像描写的な感じなのだろうけど、冷静側の人はたまったもんじゃないなあと(笑)
映画も併せてAmazonプライムで見たけど、映像懐かしいな~(竹野内豊若いな~)とかエンヤ懐かしいな~とか懐古的な感じでみてしまった(笑)
若い人で、恋人いるなら交換読みして映画観てみるとより面白いかもしれない✨(過去の局地的流行の再現。笑)
少し落ち着いたらBluの方も再読したい。