『そもそも無意識とは何なのか?』
『自由意思は存在しないのか?』
といった帯の謳い文句に惹かれた&
個人的にはずっと『自分の意思』は何なのかということがなんとなく気になっているので、なんかヒントあるかなぁと思い購入
現代社会は自由な社会であると同時に承認不安の社会でもある
そこで、無意識への興味をもつ人が増え(本当の自分を知りたい)無意識の重要性が増している P205
とする。
個々人の在り方が属性によってある程度規定されていた時代(たとえば貴族とか農民とか)が終わって、(建前上は)みんな自由だよ!何者にもなれるよ!という社会になったことによって逆に自分という存在への不安感がでてきたっていうことで、これはなんとなく理解しやすいと思う。
そういうわけで無意識への理解の重要性が増してるけれども、精神分析の理論(フロイトやユング、アドラーなど〜現代に至るまで)は、いずれも正しく、かつ各理論は一致しないものになっているらしい。
そんな中で著者は、無意識を現象学的に分析することによって、無意識の本質を理解できるとする。
現象学的分析というのは、大雑把にいうと、例えば『無意識』ということばを自身の経験に照らして考察して、何らかの共通の意味を取り出すこと。そして、『誰もが共通して認める意味』を現象学的意味での本質とすることらしい。(正確にはもっと複雑な分析になる)
現象学においては、本質=真理ではない
本書では、無意識の本質について著者自身が分析し、『無意識とは自己了解である』とする。
後半は発達心理学だったり、精神医学だったりっぽい記述が多く、側面から現象学的分析によって得られた無意識の本質(自己了解。知らなかった自分への気づき)の描写と、自由な生を送るために重要なことを記述していく感じの本
期待していた内容とは違ったけど、これはこれで面白かった。
筆者の分析に納得するかどうかは分からん。